ねむいつらいかえりたい

サブカルおばさんがいろいろがんばるはなし

あなたがいるなら

先週、入社当時から私の世話を焼いてくれている上司とご飯に行った。仕事や部署だけでなく、私の家族のことも心配してくれていて、寝たきりの父やそれを介護する母の話を真剣に聞いてくれた。私はとにかく喋るのが苦手で、どちらかというと人が喋るのを聞いていたいタイプなので、ふと「○○さんの御両親はお元気ですか」と聞いてしまった。すると、いつも気丈な上司が目頭を抑えながら、ぽつりぽつりと母親がつい先日亡くなったということを話してくれた。訃報を知っていればそんな軽々しく振るべきではなかった話を、しかし上司は自分の後悔も含めて丁寧に話してくれ、「なのであなたは父親に対して今できることをしっかりやるべきだ」と諭してくれた。

私はそれをあたふたしつつ聞きながら、肉親の死は、いつも気丈な上司をここまで狼狽させるほどのことなのかとしみじみ考えてしまった。

 

私は、父親が死んだら泣けるだろうか。どんな映画を見てもアニメを見てもドキュメンタリーを見ても感動してぼろぼろと泣けるけど、自分の肉親が死んだら、私は泣けるだろうか。母が死んだらまず間違いなく泣くだろうし、正直生きていけない。けど、私は父に対して好きとも嫌いともいえない複雑な感情がある。しかも、入院中に幾度とない命の危機に瀕し、突然の事態への感傷に浸ることも正直もうやりきった感がある。

この上司と食事に行った日の終わりに、母が「お父さんもう長くないって自分で言ってた」と私にぼそりとつぶやいた。退院後、常に復活を目標にしていた父がそんな弱気なことを言うのは初めてだった。

 

そして今日、入院中からのたっての希望で、父の旧友を招いて庭でBBQ(噂の案件)をした。といっても父は経鼻カニューレで酸素吸引をしていて庭に降りられないので縁側で。今日は雲一つない見事な晴れ模様で万年ひきこもり寝たきりの私にはキツい天気だったけど、驚くほど空と緑が綺麗だった。事前の道具と食材の調達、父の体調を気遣いながら肉を焼いてジジイ達に振る舞うのはめっちゃ疲れたけど、とても良い時間だったと思う。父の旧友たち(というかただの酔っ払いのジジイ)を駅に送り届けながら、どうかこれが最後にならないでほしいと心から思った。

 

送迎の運転中、FMでコーネリアスの新曲が流れていた。今日の穏やかな青と緑の道に驚くほどふさわしい曲だった。コーネリアスは、過去の作品を今聞くとだっさ!って思うけど、新作をオンタイムできくとめちゃくちゃかっこいいから不思議だ。あと坂本慎太郎は天才。


Cornelius - 『あなたがいるなら』"If You're Here"